S・A・ボネ、A・J・クルチャン、J・フェラリ=アルドイ共作の「B.K.E.」チェア
Spaniado Antonio Bonet/Argentines Juan Kurchan/Jorge Ferrari-Hardoy
1938
042 スパニアード・アントニオ・ボネ(1913〜89)、アーゾェンテイネス・ホアン・クルチャン(1913〜75)、ホルヘ・フェラリ=アルドイ(1914〜77)らは、パリのル・コルビュジエの設計事務所で同僚として働いていた。後にクルチャン、アルドイ、ホネはアルゼンチンに戻り、「B.K.E.」チェアをデザイン。この椅子は蝶のような形から「バタフライ」、また投石機の帯の形から「スリング」とも呼ばれている。この非常にシンプルなデザインのルーツは、イギリスのジョセフ・B・フェンビーが1877年に特許登録した木製折りたたみ椅子である。このアメリカ版のフェンビー椅子は1895年以降も、作り続けられている。歴史家カール・マングが言うように、フランコ将軍の圧制的体制下でも、合理主義者が勝利を勝ち取り、生き延びることができたなら、この椅子はスペインで製作されるはずだった(p.188参照)。この椅子が1940年にアルゼンチンでデザイン賞を受賞すると、しばらくしてニューヨークの輸入高クリフォード・パスコーがアメリカでライセンス生産を開始した。1946年頃になると、家具メーカーのノール・アソシエーツ社がライセンス生産の権利を取得する。アメリカやヨーロッパにコピー商品が蔓延するようになったため、1950年にノール社は著作権侵害で訴訟を起こしたが、フェンビーチェアとの酷似を指摘されて敗訴する。1950年代だけでも、スチルパイプまたはスチール製の棒、布または革製スリングを使用したコピー商品が世界中で約500万御製造された。


【素材】曲げたスチールパイプ、写真の作品はキャンバス地、他に皮革。

100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス