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S・E・ブーチャードの眼鏡
Samuel E. Bouchard
1939 |
デザインには作者名がまったくわからないもの、推論の域を出ないものが結構多い。形が美しく、使い勝手のよいデザインはいつの間にか我々の日常生活の必需品となるのである。こうした必需品には1849年に登場した安全ピンや、ノルウェー人科学者によって発明され、1900年アメリカ人によって特許登録されたクリップをはじめ、1938年の実用的なノック式ボールペン(p.120参照)、1967年のコンピュータマウス(p.180参照)などがある。1790年アメリカに特許局が設立され、ヨーロッパの歴史家の調査研究が進み、徐々に様々な発明者の名前が明らかになってきている。13世紀のイタリアに世界初の眼鏡が登場したときの経緯はほとんどわかっていないが、以後700年の間、眼鏡は改良され続けた。1853年に入って、アメリカのドイツ系移民であったジョン・ジェイコブ・ボシュ、ヘンリー・ロムの2人が光学機器会社を設立する。1930年代初めに、アメリカ空軍からサングラス用ガラス素材の開発を委託された同社は、可視光を70〜90%、紫外線を95%カットできるガラス素材の開発に成功した。レイバンの名前は線を意味する「レイ」、カットする意味の「バン」から取られた。レンズの開発者はB・オブライエン、F・C・ハッチングスである。このレンズは、1939年サミュエル・E一ブーチヤードがデザインし、特許登録した眼鏡に使われている。サングラスは今日まで、そのデザインにほとんど変化がない。そのほとんどが作者不明だが、第二次世界大戦の空軍パイロットに愛用されて以来、一般に広く普及するようになった。
【素材】薄い色のついた光学ガラス、プラスチック部品。写真は1975年の製品。
100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス |
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