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J・O・ライネケのテープカッター
Jean Otis Reinecke
1939 |
ミネアポリスに本拠を置くミネソタ・マイニング・マニュファクチャリング(3M)社は、研究所の若き助手リチャード・G・ドリューがマスキング・テープを発明するまで、単なる紙やすりの専門メーカーにすぎなかった。しかし、マスキング・テープの開発を境に、同社は感圧テープの専門メーカーとして成功していく。5年後、3Mはセント・ポール社の鉄道車両用絶縁材の需要に目を付けた。そして、ドリューは3Mの同僚研究員から見せられた新開発の透明フィルムに粘着剤を塗布することを思いつく。様々な実験を経て、セロファン粘着テープの発明へと発展し、結果「スコッチ」テープと名付けられた。しかし、テープを切り取った後の端部がロールに貼り付いてしまうということがわかり、オフィスや家庭で使える専用のカッターを開発することにした。3Mの社員J・ボーデンが開発した金属製のカッターは、実用性に乏しかったため、3Mは、シカゴのデザイン会社バーンズ&ライネケにテープカッターの新7サインを依頼するに至った。同社社長、ジャン・O・ライネケがデザインした特許図面では、前側の脚の上部にネジがついているが、実際には、プラスチックの特性を利用し、本体の両側がぴったり合わさる構造を採用したので、接合のためのネジは不要となった。彼がデザインした流線形のテープカッターは、前年に発売され注目を集めていた、デイジー社のロケット形アイスクラッシャーに比べて設計条件は厳しかった。プラスチック製品をにせものと考えるのは不当であると感じていたライネケは、最後までプラスチックを使ったデザインにこだわり続けた。
【素材】プラスチック
100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス |
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