E・C・タッパーの容器類
Earl C. Tupper
1945
042 1939年、イギリスの総合化学会社ICIが、開発に成功した合成重合体ポリエチレンの商業生産を開始した。2年後の1942年、アメリカの発明家で技術者でもあった、デュポン村マサチューセッツ工場の化学者アール・C・タッパー(1907〜83)が、ポリエチレンのインジェクション・モールドに成功した。1945年、彼はタッパー・プラスチックス社を設立し、軽量で壊れない、耐衝撃性に優れた、半透明の衛生的なキッチン用容器の製造を開始する。製品第1号のバスルーム用7オンスタンブラー「ポリ・T」の名前は、ポリエチレンとタッパーの頭文字から取られたものだ。続いて彼はパステルカラーのカップ、ボール、ピッチャーなど25種類の製品を展開していった。その後開発された、縁に蓋の溝をはめ込むタイプの容器によって、冷蔵食品の鮮度を長く保つことができるようになる。タッパーの発明したこの革命的な容器は、1946年にアメリカで、1960年にイギリスで、タッパー社に雇われた主婦が各地で開いたタッパーウェア・ホーム・パーティーを通じて、近所の主婦たちに販売された。デモンストレーションに使用されたサンプル品は販売せず、後で注文書を各家庭に送付するという独自の販売方法が成功した。タッパーは工場をさらに広い敷地に移転させる予定だったが、突然、気が変わり、1958年、同社をレクソール・ドラッグ社に売却し、コスタリカに隠棲した。タッパーウェアは今や全世界の市場に受け入れられ'ポリエチレン以外にも、モリソン・カズンズなどがデザインした、様々な関連製品を発表し続けている。


【素材】成型ポリエチレン

100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス