A・フライとS・シルバー共作の低粘着性付箋紙「Post-it(R) Note」
Arthur Fry/Spence Silver
1980
042  アーサー・フライ(1931〜)は、ミネソタ大学で化学工学科学生であった1953年からミネアポリスの3M社で働き始め、技術者として40年間勤め上げた。  彼が会社に対して成した最も大きな貢献は「Post-it(R)Note」の発明である。科学技術の発明ではよくあることだが、「Post-it(R)Note」の誕生もまったくの偶然からだった。  フライの発明のヒントになったのは、3Mの化学者スペンス・シルバー博士(1941〜)の開発した粘着剤である。この物質は様々な物の表面に軽く粘着し、はがして別の場所に貼っても、その粘着力を維持していた。フライは、スペンスの開発した粘着剤を紙に塗れば、個人的なメモ書きに最適であることに気付いたのである。フライによれば「僕は、表にメモ書きができて、本のぺ一ジに貼りつけられるしおりとして使っていた」という。やがて彼は、それを同僚に手渡す書類に貼っても便利だということに気付く。同僚もサンプルをほしがるようになり「自分の考え出した粘着性のしおりが、新しい情報の伝達手段になるということに気付き、興奮した」と回想する。  1980年、彼の考案したしおりはアメリカで「Post-it(R)Note」として3Mから発売され、翌年、ヨーロッパにも進出した。  現在、様々な色、大きさで、無地、罫線付きの付箋が販売されているが、カナリアイエローの付筆は3Mの登録商標である。


【素材】 紙、特許登録の接着剤

100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス