E・ソットサスの本棚「カールトン」
Ettore Sottsass
1980
042  オーストリアの建築家の息子、エットレ・ソットサス(1917〜)は1947年、イタリアのミラノに設計事務所「ザ・スタジオ」を設立、建築家としての活動を開始した。そして1958年からオリベッティ社のタイプライター機器をはじめ、オフィス家具をデザインするようになる。  1960年代、彼はイタリアのいわゆる反デザイン運動の先頭に立ち、ヨーロッパやアメリカのヒッピー文化、学生運動の動きに歩調を合わせて仕事をしていた。様々な企業向けに作られた、彼の断固としてプレーンな作品群は、時代のラディカリズムを如実に反映している。  常に自分と基本的アプローチの似ている若いデザイナーたちに親近感を覚えていたソットサスは、自分のデザインの個性を失うことなく、若者たちの中で指導的役割を果たした。  仲間と共同でスタジオ・アルキミアを設立した1979年以降、彼の反デザイン的傾向はますます強まっていく。  その後、彼はソットサス・アソシエイツを設立、翌1981年再び仲居と共同で、大衆を挑発するようなメンフィスの家具やオブジェのコレクションを製作した。しかし、これらの作品群は、予想に反してジャーナリズムから絶賛された。最初のメンフィスコレクション作品である本棚「カールトン」は、通俗的な色と積層プラスチックを使った極端なフォルムが特鐵である。   一匹狼のソットサスは、その役割を終えたとして、1988年、非常に成功していたメンフィスを解散している。


【素材】 木材、エイベット・ラミネート社製プラスチック被覆材

100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス