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I.D.トゥーの携帯パソコン「コンパス」
I.D.Two
1982 |
1975年、未成熟な機能のマニア向けパーソナルコンピュータ「アルテア8080」(p.162右コラム参照)が登場し、やがて、より洗練された「アップル泪(p180、186参照)が現れる。1980年代初頭までパソコンのあるオフィスは珍しく、さらに家庭はといえば皆無に近かった。ましてや、持ち運べるコンピュータの存在など考えもしなかった。そこで一般にアピールするために、パソコンメーカーは工業デザイナーと共同で、操作の簡単な、ユーザーに優しいコンピュータの開発を目指した。
グリッド・システムズ社がコンピュータ業界に参入したのは、ビル・モグリッジ(1943-)がロンドンに本社を置くデザイン会社のカリフォルニア支社として1.D.トゥーを設立した1979年に遡る。翌年、グリッド社はモグリッジのデザインチーム(現在のIDEO)を採用。グリッド社社長、J・エレンビーによれば、これは「工業デザイナーグループと我が社の技術チームとの間で緊密で継続的な協力関係を築くため」であった。
モグリッジは「卓上に置くことができ、シンプルで堅牢、無駄がなく、商業生産向きで、蓋を開けるとビジュアル的に美しく、使いやすそうな内部構造を持ち、コンピュータを使っている姿が様になる」ようなラップトップのデザインを考えていた。結果、誕生した「コンパス」は、エレクトロルミネセンス素子を使ったディスプレイをはじめ、突起の少ないキーボード、磁気バブルメモリー、キーボードを手前に傾けるための脚、持ち運び時にキーボードを保護する折りたたみ式ディスプレイ機構など、それまでのコンピュータにはない数々の特徴を備えていた。
【素材】 プラスチック、金属部品、ガラス
100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス |
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