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H・エスリシガーとフロッグデザインのコンピュータマウス
Hartmut Esslinger
1984 |
コンピュータマウスはパソコンを親しみやすく、使いやすいものにした。この便利な装置は、物を指し示す(ポインティング)という世界共通のジェスチャーをコンピュータ上で具現化したものである。
技術革新のエッセンスを凝縮したマウスは、ウィリアム・C・エンゲルバート(1925〜)の研究によって生み出された。第二次世界大戦中、彼はレーダーのスクリーン上の示度数を、目に見えるグラフィック的な物に置き換えて自分の手でスクリーン上を動かせるのではないかと考えた。
1964年、彼の考えを実現するポインティング装置が他に先んじてカリフォルニアのスタンフォード大学のビル・イングリッシュ研究室で誕生する。さらに1968年には、スタンフォード大学のマルチメディア講演会でエンゲルバートの研究グループが、マルチプル・ビューイング・システム、ハイパーテキスト、マウス操作を実演した。
しかし、当時のシリコンバレーのコンピュータ社会がマウスを使ったパソコンの将来性に着目しなかったため、1975年にジョブズ、ウォズニアックの「アップル1」が登場するまで待たなければならなかった。
「ポインター」はすでに、1967年エンゲルバートが「ディスプレイ装置のためのX-Y座標表示」として特許申請し、1970年には認可されていた。アップルコンピュータ社から「座標表示」の改良を依頼されたH・エスリンガーのフロッグデザインは、人間工学的ではなく幾何学的な改良を加えたポインターを生み出した(p.186参照)。
【素材】 プラスチック、金属部品
100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス |
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