P・スタルクのレモン校り器「ジューシー・サリフ」
Philippe Starck
1990
042 フィリップ・スタルク(1946〜)は1968年処女作「スパニッシュ・チェア」を製作した後デザイナーとして独立。1983年から1984年のパリ・エリゼ宮、また1984年のカフェ・コストが出世作となる。これらの仕事を通してその名が知られるようになったスタルクは、このチャンスを利用して、伝統を否定するコメントやその行動でマスコミの寵児となった。  カフェ・コスト用に製作した家具の普及版は1990年までに数十万台の販売記録を達成。家庭用品や家具は、ドリアデ社、ディスフォーム社、トンプソン社、ササキ社が商品化した。作品はヴィッテル社のウオーターボトルやフルオカリル社の歯ブラシからパスタにまで及んだ。SF作家の不ィリップ・K・ディックの影響を受けたスタルクは建物のデザインも手がけた。  1988年からはアレッシィ社とも共同で仕事を開始。アルベルト・アレッシィ社長は「彼は私の夢を具現化してくれた人間。製品作りと販売についても常に革新的な考えを持っているデザイナーだ。」と言う。  どんなアイデアが飛び出すか予測不可能のスタルクは、アレッシィ社からトレイのデザインの依頼を受け、後にアレッシィ社のベストセラーとなる「ジューシー・サリフ」を作り上げた。このレモン絞り器は機能性より視覚的価値の方が大きいと言えるかもしれない。デザインの真価をより深く理解した一般のユーザーに、対象をオブジェとして飾る傾向が出てきたからである。


【素材】 初期型はアルミニウムをつや出し、後期型は無煙炭彩色加工したポリテトラフルオロエチレン樹脂、脚部はポリアミド。

100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス