T・レミのチェスト「ユ一・キャン・レイ・ダウン・ユア・ドリーム」
Tejo Remy
1991
042  オランダのデザイン界は、リートフェルトの作品(p48参照)以降、国際的な注目を集めるようになっていた。  オランダ人デザイナー、テヨ・レミ(1960〜)はユトレヒトの芸術大学で3D デザインを学び、卒業製作としてこの引き出しチェスト「ユー・キャン・レイ・ダウン・ユア・ドリーム」など多くの作品を作り出した。  彼のデザインは、よくロビンソン・クルーソーに例えられる。身近にあるものを使い、流行の素材を使ったデザインを拒絶したからであろう。レミによれば、このチェストは廃棄物を再利用したもので、またアメリカのパッチワークキルトのように、かつての持ち主の思い出も詰まっているという。「引き出しにはそれぞれの持ち主の思い出が詰まっているから、見る者の頭の中が混乱してしまう」レミの作るチェストは、その性格から、他のデザイナーの作品とは一線を画しており、作品数もわずかしかない。  一員であったという表現が正確であれば、レミは、オランダのドローク・デザインで、共同作品をいくつか発表している。同グループの作品が始めて国際舞台で展示されたのは1993年のミラノ家具見本市と、ドイツのケルン家具見本市であった。デビュー作品の主張は型破りであったが、的を射ていたため、マスコミに高く評価された。


【素材】 木製引き出しの再利用、皮製ベルト

100 DESIGNS 100 YEARS
20世紀を創ったモノたち
メル・バイヤーズ/アーレット・B・デスボンド
森屋 利夫/成澤 恒人
2000.05.05
株式会社アクシス