家族の時間
坂本 久美子
担当教員によるコメント
一見キュビスムを思い起こしそうな立体的な螺旋構造に、日常生活の断片が駒送りのように描かれている。坂本は以前から家族など身近な問題をテーマとして作品を制作してきた。かつて映像作品を手がけた事もあり、様々な表現方法を試すなかで現在の表現にたどり着いた。そんなことから平面作品の中にも動きをかなり意識している。ただ、具体的な表現形式は明らかにキュビスムとは異なっている。断片的、文節的なパースペクティブと色彩の鮮やかさ、色面としての明快さや力強さが連続する画面に動きと物語性を浮かび上がらせ統一した世界を構築している。スケールの大きな画面の中で小さな人間の営みがいとおしく感じられ、人物を描きながらも存在の希薄さや空虚な孤独感を漂わせている。
教授・木嶋 正吾
- 作品名家族の時間
- 作家名坂本 久美子
- 作品情報技法・素材:アクリル、キャンバス
寸法:H181.8×W259cm - 学科・専攻・コース
- カテゴリー