物流やインターネットの発達によって、国境を越え多くの人やもの、情報が行
き交い、時間や場所を問わず個人と世界が関わりあっています。
そのような中で私たちは、それぞれが独自のやり方で、世界との繋がり方を常
に更新しつづけているのではないでしょうか。それは一方ではグローバルなも
のであり、他方では私的なものでもあるでしょう。
今回私たちは、こうした世界との繋がりを「航路」と捉えました。広い世界と
自分との間を結ぶルートが多様にある状況において、我々はそれぞれの「航路」
の途上に立っています。
本展覧会では、現代における多様な「航路」について、市川裕司、太田三郎、
川久保ジョイの3人のアーティストの作品を通し見つめます。彼らの作品は、
私たちがどのような「航路」で世界と繋がっているのかを問いかけます。そし
てこの展覧会が、これからのあなたと世界との繋がり方について、「航路の途上」
で想いを馳せるきっかけになることを願います。
展覧会設計ゼミ一同
1979年埼玉県生まれ。2005年多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻日本
画領域修了。日本画の技法を活かし、屏風を変形させたり、箔を用いたりする
作品を手掛ける。また五島記念文化財団海外研修員としてドイツ・デュッセル
ドルフに滞在し、林檎というモチーフに興味を持つようになる。現在では、言
葉を越えて意味を伝達することのできるモチーフの可能性について、作品を通
し模索している。2012年、五島記念文化賞美術新人賞を受賞。
http://genetic12.jimdo.com/
1950年山形県生まれ。1971年国立鶴岡工業高等専門学校機械工学科卒業。
切手や植物の種子といった、郵便や移動を連想させる素材を用いて、「時間」
と「場所」の関係性をテーマに制作。太平洋戦争に題材を得た私製切手シリー
ズも多数ある。1980年より内外の画廊や美術館で作品を発表。
2015年東京都現代美術館にて「未見の星座 つながり/ 発見のプラクティス」
静岡市美術館にて「静岡市美術館開館5 周年記念 大原美術館展 名画への旅」
に参加。2013年第4回「創造する伝統賞」受賞。
http://seedproject.jp/
1979年スペイン生まれ。2003年筑波大学人間学部卒業。風景の普遍性や写真
行為の形而上学性を追求した平面作品や、偶然性やメタ認知を主題や媒体とし
たインスタレーション、サウンド作品を制作。また、2011年以降は原子力の問
題や東北の被災地に関連した作品制作、国内外でのトークや被災地での活動も
行っている。
近年の主な展覧会に「Those who go East」(White Conduit
Projects、ロンドン、2015)、「VOCA2015」(上野の森美術館、2015「大原美
術館賞」受賞)、「Tokyo Story2014」(トーキョーワンダーサイト渋谷、2014)
等。VOCA2015 大原美術鑑賞、第10回Shiseido Art Egg入選等の受賞がある。
http://www.yoikawakubo.com