はじめに

会場風景
井上

2005年度に行ったシンポジウムでは、多摩美術大学工芸学科陶プログラムのカリキュラムについて議論しました。続く今年は、他の大学のお話をぜひとも聞いてみたいというのが今回の趣旨です。

今後、大学教育がどんなふうに変わっていくか、学生数の問題も大きな問題です。多摩美の改組があったのは98年で、そのとき工芸科ができたわけですけど、面白かったのは、学科の順番です。もともと油絵から始まっているんですよ。油画、日本画、彫刻、次にデザイン系科、芸術学科。そこに新しく工芸学科ができた。どこに収まったかというと、彫刻とデザインのちょうど間に入ったんですよ、するするっと。いまでも会議のときの発言の順番などはその順番です。大学ができたときの制度、西洋美術の序列を、そのままずっと引きずってきているのかもしれません。

また、ぼくはもともと油絵の出身ですけど、いまの油画科は油絵を描いている学生だけではなく、立体作品や、パフォーマンス、メディアアートなど多様な表現を試みる学生が少なくないです。同様に、工芸を含めて、学校の枠組みとはだいぶ違った動きが出てきていることは確かだけれども、誰もそこをうまく調整できていない。一方で、大学はどんどん大きくなって、多摩美なんて、ぼくが学生のころの倍ぐらいの学生数になっている。そうなると、組織を細かく分けていかないと成り立たない。そのへんも、皆さんの大学はどうなのか、そんなことも含めて話になればいいと思います。