文様は人と人、世界と人をつなぐ役割をもち、世界を表すと同時に、世界を美しく装ってきました。文様は人類誕生と共に現れる人間の最も始原的なイメージです。 文様は神話、伝承、民話、宗教、民族の記憶を吸収し、人類の起源から立ちあがってきます。仏教の蓮花文様、イスラム教のアラベスク、ゾロアスター教の生命樹、ヒンドゥー教の蛇文様... それらの文様は、布、木、器、壁、紙など多様な素材を通し、途方もなく長い歴史と地理的な広がりを移動し、グラフィック・コミュニケーションの原点として人間の生活と環境を彩ってきました。現在のアート!デザインもこの文様を抜きに語ることができないと言っても過言ではないでしょう。
TAMA MON 22—多摩美術大学文様研究プロジェクトは、文様を広く文化的に捉え、その収集と調査を行ってきました。位置情報などのデータを含めたデジタルアーカイヴス化とともに、流動的で多元的で捉えどころがない現代の文様の振る舞いを映像作品を通して表す試みを行ってきました。
文様を新たな芸術資源として読み解き、アートおよびデザイン教育に活用していくことを目的としたこのプロジェクトは「広く創造に関する諸問題を文様と研究を通して究明し、美術界に資することを目的」として、昭和48年(1973年)に多摩美術大学に設置された文様研究所の活動を21世紀の現代へと引き継ぐものです。文様研究所のインドネシアのバテック・コレクションや、タイのバン・チェン土器の文様資料といった資料とともに、研究所の様々な研究資産をデジタル・データに置き換えて、アーカイヴスを構築してきました。
多摩美術大学学長を務めた文化人類学者石田英一郎(1903−1968年)は「文様をして人間の創造の歴史を語らしめよ」という言葉を遺しました。TAMA MON 22—多摩美術大学文様研究プロジェクトは石田英一郎のこの言葉と、多摩美術大学文様研究所の精神を受け継ぎ、22世紀に向けた新たな文様研究を行っています。
短編映像作品:「儀礼の力/インドネシア・バリ島の陶酔儀礼」東京芸術大学(2016年)
展覧会企画:「光源の島」銀座ニコンサロン/大阪ニコンサロン(2016年)
単著:『唐草抄―装飾文様生命誌』(2005年、牛若丸発行)
web連載:『歌舞伎文様考』(2008年~2009年、歌舞伎硬式webサイト歌舞伎美人)
展覧会企画:「美と生命の唐草展」(2004年4月8日~5月25日、ハウス・オブ・シセイドウ、東京銀座)
展示企画:「青花流水ーBlue & white」(2010年5月1日~10月31日、上海万博日本産業館INAXブース、中国上海市)
展覧会企画:「手の記憶/自然との共生展Part2 アジア~伝統から革新へ~」展
(2017 年10月12日~2017年10月22日、多摩美術大学アートテーク)
海外アート教育プログラム Soilpaintings:OurLand Stories: 深津裕子・反町眞理子・飯塚宣子
(2017年9月6/7日、フィリピン共和国カリンガ州ルブアガン村マビロン小学校)
展覧会企画:「手の記憶/自然との共生展Part1 内藤順司写真集『いのちの樹 The Tree of Life IKTT 森本喜久男
カンボジア伝統織物の世界』から学ぶこと」展(2016年6月26日~2016年7月7日、多摩美術大学アートテーク)
展覧会映像展示ディレクション:「スイス・デザイン展」
(2016年、東京オペラシティ・ギャラリー/静岡県立美術館他)
舞台作品映像演出:「サキの国」久良岐能舞台企画作品、森弘一郎、おおたか静流他、
文様をテーマとした映像で舞台を演出(2019年7月13日、磯子公会堂)
単著:『砂漠芸術論ー環境と創造を巡る芸術人類学的論考』(2018年、流彩社刊発行)
ディレクション:「唐草ーその記憶の旅」ハウス・オブ・シセイドウ、「美と生命の唐草展」における
インスタレーション作品(2004年4月8日~5月25日、ハウス・オブ・シセイドウ、東京銀座)
ディレクション:「青花流水ーBlue & white」上海万博、日本産業館INAXブースにおける
映像インスタレーション作品(2010年5月1日~10月31日、上海万博日本産業館INAXブース、中国上海市)
多摩美術大学美術学部教授 東京学芸大学大学院修了後、現代音楽作曲家として活動を開始。在学中からコンピュータやサンプラーを用いたノイズ即興演奏、実験的な電子音響作品、美術や演劇、映像とのコラボレーション、ゲーム音楽/CM音楽/ポピュラー音楽制作に携わるなど、そのジャンル横断的な活動は早くから注目を集める。一方で、芸術ユニット明和電機の音楽監督/足踏みオルガン奏者“経理のヲノさん”として知られるほか、ムード音楽バンドブラックベルベッツに参加。DJとしてクラブやイヴェントに多数出演。J-POPの分野においても、様々なアーティストに楽曲を提供するほか、アレンジャー、サポートミュージシャンとしても活躍している。第11回神奈川県芸術祭合唱コンクール入賞、1988年日本現代音楽協会作曲新人賞をはじめ、受賞および委嘱作品等多数。音楽評論、エッセイ、雑誌連載など執筆活動も旺盛で、『ヲノサトルの甘い作曲講座』などの著書がある。 https://www.wonosatoru.com
京都芸術大学美術工芸学科 教授、多摩美術大学 美術学部情報デザイン学科 非常勤講師。静岡県出身。早稲田大学法学部卒業、インターメディウム研究所修了。多様な被写体のもとで「時間」「光」「場所」などをサブテーマに、常に写真の構造に触れるコンセプチャルな作品展開を続ける。主な展覧会に「写真の現在2 ―サイト― 場所と光景」(東京国立近代美術館、2002年)「Natura Morta 」(Leica gallery Solms、2006年)「Dwelling」(世田谷美術館主催、2008年)「kunihiko katsumata」(森アートセンター六本木ヒルズクラブ、2011年)「都市の無意識」(東京国立近代美術館、2013年)など。主な受賞に「さがみはら写真新人奨励賞」(2001年)、「日本写真協会新人賞」(2005年)。東京国立近代美術館、世田谷美術館、沖縄県立博物館・美術館など国内外の主要なコレクションに作品が収蔵されている。
http://www.kunihikok.com/index.html
多摩美術大学 美術学部情報デザイン学科 教授、多摩美術大学 芸術人類学研究所 所員。1960年、神奈川県生まれ。写真家、映像人類学。早稲田大学在学中に南アメリカ各国を移動しながら写真を始め、卒業後にパリを拠点に写真家として活躍。1989年に起きた東欧の革命を取材する中で群衆とイメージについて考察を開始し、写真とテキストを組み合わせた独自のスタイルを作り上げる。以後、芸術の発生、記憶と予兆などをテーマに、国内外で制作と発表を続けている。1995年より多摩美術大学美術学部で教鞭をとり、現在は同大学情報デザイン学科教授。2006年〈市民の色〉で伊奈信男賞受賞。著書に『記憶──創造と想起の力』(講談社、サントリー学芸賞)、『洞窟へ──心とイメージのアルケオロジー』(せりか書房)など多数。2016年には「あいちトリエンナーレ2016」の芸術監督を務めた。
*北方モンゴロイド文様プロジェクト
国立民族学博物館学術資源研究開発センター外来研究員(2016年度 – 2018年度)
共著:『映像人類学(シネ・アンスロポロジー)―人類学の新たな実践へ』(2014年、せりか書房)
多摩美術大学博士課程修了
論文:「資生堂の唐草 込められた理念」(2004年、資生堂企業資料館研究紀要 おいでるみん)
論文:「セルジュ・リュタンスという戦略』1980年から20年間、資生堂のグローバル化を推進した
セルジュ・ルタンスのイメージ戦略を、「理想の女性、現実の女性」「イメージとは記憶であり、連想である」
「永遠の価値」「美の探究者」の4項に分けて論考(2005年、資生堂企業資料館研究紀要 おいでるみん)
単著:『世界のグラフィックデザイン』(2019年、ギンザ・グラフィック・ギャラリー発行)
地域社会調整役、1990 年代以来の研究者らの調査研究への協力者で教育者(元小学校教諭)。
地域文化の継承や 記録を行い、エコツーリズムを提唱するバンガローを経営しながら環境・文化保護を実施。
(2019年6月に永眠)
7月
インドネシア、バリ島フィールドワーク(2017年07月〜2017年08月)
11月
文様映画「アジア装飾文様アーカイブ映画シリーズ2作品を完成
第1作 インドネシア・バリ島編01「チリとラマーバリ島の想像力を揺れ騒がす不思議な文様」
第2作 インドネシア・バリ島編02「チュプックーイカット文様に宿る魔除けの力」
11月
文様映画上映&トークセッション「MONYO21/22 文様は世界をリンクする」開催
(12月08日 多摩美術大学八王子校舎図書館アートギャラリー)
トークセッション|「MONYO21/22 文様は世界をリンクする」12月8日(金)
登壇者|伊藤俊治(東京藝術大学先端芸術表現学科教授、多摩美術大学情報デザイン学科客員教授)、深津裕子(多摩美術大学共通教育教授)、佐々木成明(多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース准教授)、山形季央(多摩美術大学グラフィックデザイン学科教授)
MONトワレット2017展示
(12月04日〜12月20日 多摩美術大学八王子校舎アートテーク1F多目的トイレ)
1月
インドネシア、バリ島フィールドワーク(2018年12月〜2019年01月)
2月
文様映画「アジア装飾文様アーカイブ映画シリーズ4作品を完成
第3作 インドネシア・バリ島編03「ポレンーバリ島の世界観を表す守りの文様」
第4作 インドネシア・バリ島編04「グリンシンー聖なる文様」
第5作 インドネシア・バリ島編05「オムとオンカラー聖水と身振り」
第6作 インドネシア・バリ島編06「ワヤンクリッとカヨンー影と闇の文様」
3月
共同研究報告論文《TAMA MON 22―多摩美術大学文様研究プロジェクト—
— アジアの装飾文様のアーカイヴス化と教育活用に関する研究》多摩美術大学研究紀要 第33号に掲載
「アジアの装飾文様の教育的活用」多摩美術大学研究紀要第33号163-171(2018年)
山形季央|佐々木成明|深津裕子|伊藤俊治
7月
文様研究所収集「インドネシアのバティック/イカットコレクション」全収集品を撮影。
文様研究所資料の論文、研究報告書等印刷物のPDFデータ化作業
文様研究所資料の写真資料の整理とデジタルデータ化作業
文様研究所資料の整理とデジタルデータ化作業
文様研究所資料の収蔵物、資料の分析と整理を終了(バン・チェン土器等の収蔵物の保存状況の確認)
8月
インドネシア、バリ島フィールドワーク(2019年7月〜2019年08月)
バリ島、ジュグジャカルタ、台湾等における写真記録による文様収集調査
9月
文様映画「アジア装飾文様アーカイブ映画シリーズ3作品を完成
第8作 インドネシア・バリ島編08「カーラと唐草ーバリの石彫装飾」
第9作 インドネシア・バリ島編09「バティックー植物を纏う」
第10作 インドネシア・バリ島編10「バロンー森の聖獣文様」
(バリ島シリーズ全10作品の編纂を終了)
10月
webサイト《TAMA MON 22 on the web》を発表。
アジアMMONYOデータベースの公開と運用を開始。文様研究所アーカイヴスを公開。
→webサイト2019
11月
展覧会「新世紀アジアの潮流ー文様の創造力展」開催
(11月20日(水)~11月22日(金) 多摩美術大学八王子校舎アートテークギャラリー 2F 202)
トークセッション「新世紀アジアの潮流ー文様の創造力」11月22日(金曜日)
登壇者:伊藤俊治(東京藝大学先端芸術表現学科教授、多摩美術大学情報デザイン学科客員教授)、深津裕子(多摩美術大学共通教育教授)、佐々木成明(多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース准教授)、山形季央(多摩美術大学グラフィック・デザイン学科教授)、村尾静二(清泉女学院大学人間学部講師)
パフォーマンス「声紋:声の文様」:山川冬樹(多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コーズ非常勤講師、文様映画全10作品のナレーションを担当)
8月
12月
多摩美術大学アートアーカイヴシンポジウム(オンライン)
「メディウムとしてのアートアーカイヴ」
日時:2020年12月5日(土) 10:00~17:00
第2部 「アートアーカイヴと遠隔教育」
深津裕子:文様アーカイヴとアート&デザイン教育
コメンテーター:加治屋健司、関口敦仁、赤塚祐二
司会:久保田晃弘
https://aac.tamabi.ac.jp/information_symposium2020.html
3月
『文様生成アプリ KARAKUSA 2021』発表
唐草文様を生成するアプリケーション、プログラミング|掘口淳史氏
https://youtu.be/Wn90Hwog0JY
2020年度文様映画3作品を制作
「文様ドキュメンタリー「日本・資生堂唐草編1—資生堂唐草と美の生命力」
「文様ドキュメンタリー「日本・資生堂唐草編2—資生堂唐草と山名文夫」
「文様ドキュメンタリー「中東およびイスラームの美術編1—イスラームの文様建築-ムカルナス」
TAMA MON22 本年度制作の文様映画3作品プレミアム上映会開催
多摩美術大学共通教育棟405教室(2021/3/15.16:00~17:00)
研究論文《TAMA MON 22―多摩美術大学文様研究プロジェクト
—— 「熱帯文様論―インドネシア諸島の文様を中心に」》
多摩美術大学研究紀要第35号(2020年度刊)に掲載(2021.3.31)
4月
多摩美術大学アートアーカイブセンター紀要「軌跡2号」に
「文様の創造力展」(2019年11月)の報告を掲載
日本学術振興会が交付する科学研究費助成事業に採択
研究テーマ:「日本の文様デザインアーカイヴの創造
―東西文化交流と近代日本のデザインの視座から―」
研究期間:2021年~2026年、助成名称・機関: 科学研究費基盤研究(B)(一般)
21H03767(日本学術振興会)
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-21H03767/
6月
公益財団法人 三島海雲記念財団 2021年度学術研究奨励金を獲得
研究テーマ:「モンゴル装飾文様アーカイヴの創造−北方モンゴロイドから縄文・アイヌ文様へ−」
研究期間:2021年度、助成名称・機関:第59回学術研究奨励金(公益財団法人三島海雲記念財団)
https://www.mishima-kaiun.or.jp/assist/3058-1.html
7月
北海道第一次アイヌ文様調査(7/25~7//28)
平取町立二風谷アイヌ文化博物館(平取町)、萱野茂二風谷アイヌ資料館(平取町)、
平取町アイヌ工芸伝承館(平取町)、ウポポイ民族共生象徴空間(白老町)、
川上裕子さんインタビュー(札幌市)、北海道大学総合博物館(札幌市)
8月
桐生眞輔氏取材(2021/08/27)
桐生眞輔氏取材インタビュー収録 京都芸術大学文明哲学研究所(京都市)
10月
新潟県文様文様調査(2021/10/28~10/29)
新潟県立歴史博物館(長岡市)、馬高縄文館(長岡市)、北方文化会館(新潟市)
新潟県埋蔵文化財センター(新潟市)、水の公園福島潟(福島潟)ほか
京都-奈良文様調査(2021/10/30~2021/11/03)
天理大学附属天理参考館(天理市)、国立民族博物館(大阪千里市)、奈良国立博物館(奈良市)、
京都工芸繊維大学 美術工芸資料館(京都市)ほか
北海道第二次アイヌ文様調査(11/26~11//30)
萱野茂二風谷アイヌ資料館(二風谷)、ピリカコタンー札幌市アイヌ文化交流センター(札幌市)、
北海道大学総合博物館(札幌市)、北海道博物館(札幌市)
森の中に建つチセでアイヌ刺繍家の川上裕子さんのインタビューを収録
11月
多摩美術大学授業「服装衣装論」「メディア・アート原論」等で
「アート&デザインにおける文様」をテーマとして講義や演習を開催
12月
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B)) を獲得
研究テーマ:「台湾の文様デザインアーカイヴの創造ーアジアの少数民族文化の固有性の記録ー」
研究期間:2021年~2026年、助成名称・機関: 国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
[整理番号:21KK0002]
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21KK0002/
アイヌ文様ベジェデータ作成
2月
2021年度文様映画3作品を制作
モンゴル装飾文様シリーズ 01「アイヌと北方モンゴロイド」
文様アーカイヴシリーズ01「杉浦非水と『非水百花譜』
文様の起源を求めて01「文字と文身 桐生眞輔に聞く」
日本・モンゴル民族博物館 調査(兵庫県豊岡市)(2022/2/16)
京都大学博物館調査(京都府)国立民族博物館調査(大阪千里市)(2022/2/18~2/19)
3月
『吉祥文様生成アプリ ウルヘージー 2022』発表
吉祥文様を生成するアプリケーション、プログラミング掘口淳史氏(2022.3.31)
4月
研究論文が多摩美術大学研究紀要 第36号に掲載
「杉浦非水のデザインアーカイブの創造—近代日本の文様と東西交流の視点から」
深津裕子|伊藤俊治
多摩美術大学研究紀要 第36号(2022年3月31日発行) P81-99 (2022.3.31)
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5月
多摩美術大学学内共同研究
「多摩美術大学所蔵インドネシア硝子絵コレクションの再検証と保存研究」(2024年-2026年度)
多摩美術大学学内共同研究
「立体文様装飾図像のジェネラティブ生成と体験型 VR 空間での提示 」(2023年-2026年度)
日本学術振興会 基盤研究(B)23K21840
「日本の文様デザインアーカイヴの創造ー東西文化交流と近代デザインの視座から」(2022-2025年度)
日本学術振興会 国際共同研究強化(B)21KK0002
「台湾の文様デザインアーカイヴの想像ーアジアの少数民族文化の固有性の記録ー] (2022-2025年度)
公益社団法人三島海雲記念財団 第59回学術研究奨励金
「モンゴル装飾文様アーカイヴの創造ー北方モンゴロイドから縄文・アイヌ文様へー」(2021年度)